「あじさいの里」復活目指して 姫路・安富中生がプロジェクト
シカの食害で激減 地域住民と連携して植栽
シカの食害で激減したアジサイを復活させようと、姫路市立安富中学校(同市安富町安志)の生徒と地域住民が取り組む「安富町花あじさい復活プロジェクト」が、県教育委員会の「ひょうごSDGsスクールアワード」で中学校部門最高の優秀賞に輝くなど数々の賞を受賞している。この活動を推進している同校学校事務職員の風見智広さんに狙いや展望を聞いた。
―プロジェクトを始めたきっかけは。
少子高齢化でどこの地域も元気がなくなっている。そこで前任の学校では、400年前に姫路城の周りを飛んでいたジャコウアゲハを復活させる「姫路城中曲輪バタフライガーデンプロジェクト」に取り組み、観光客にも喜ばれている。2023年4月に安富中に着任すると、姫路市と合併前の旧安富町の町花だったアジサイがピンチだと知り、何とかしたいと思った。
―どんな状況だったのか。
学校近くの安志加茂神社内にある「あじさいの里」や「あじさい公園」にはかつて計約8千~1万株が植わっていた。しかしシカの食害で徐々に数が減り、ぱらぱらと花が咲くだけになった。そのため昔の景観を取り戻そうと、同神社の宮司や地元住民から学校に協力を呼びかけてもらい、窮状を知った生徒たちがプロジェクトを企画した。
―具体的な活動は。
23年7月にキックオフイベントを開き、全校生徒113人が姫路市農業振興センターの方からアジサイについて学んだ。挿し木作業、苗の植え替え作業も行い、約450株のポットを作成した。翌年3月には、3年生が苗木約100本を「あじさいの里」に植えたほか、6月には植物の専門家からシカなどの害獣が嫌うハーブについても学習。以降、ローズマリーなども育て、アジサイと一緒に植栽している。
―生徒たちが資源循環にも挑戦している。
水産養殖と水耕栽培を組み合わせた「アクアポニックス」を応用して、地域の魚を活用し、校内の水槽でアジサイを育てている。魚がふんをして養分ができた飼育水をポンプで上部のプランターに送り、アジサイが養分を吸収してきれいになった水を水槽に戻す。魚や植物の種類によって育ち方が違うのかも調べている。
―今後の目標は。
「あじさいの里」をまず復活させて、町内に植栽し、かつてのアジサイの咲く風景を再現したい。そしてドライフラワーにして町内で結婚するカップルにプレゼントしたり、町内各所に飾ってもらったりして地域の活性化につなげていきたい。
