市外高校への通学定期代、半額を補助
神戸市2025年度予算案 森林・里山の再生に着手へ
神戸市は2月17日、総額2兆331億円の2025年度当初予算案を発表した。森林・里山の再生に着手し、樹木の資源調査や放置竹林を活用したビジネスモデルの構築に乗り出す。4月の神戸空港国際化を踏まえ、世界的な潮流となっているSDGs(持続可能な開発目標)を体現する国際都市を目指す。
阪神・淡路大震災後の行財政改革を経て、市は大型プロジェクトの三宮再整備事業や駅周辺リノベーションなど都心と郊外の再生を本格化させた。25年度からは神戸を特徴付ける森林・里山を加えた「三つの再生」をまちづくりの柱に据える。
六甲山地に代表される市内の森林は9割を広葉樹林が占めるとされる。家具材や床材として活用が見込め、具体的な資源量を調べる。木材の流通拠点を整備するため、市が伐採木を仮置くストックヤード(同市北区)の機能を強化。用地を拡大して乾燥設備を設け、製材業者に利用を促す。また倒木や災害のリスクを高める竹林の放置を防ぐ目的で、竹材の収集から保管、加工までを担う拠点もつくる。
市内には国内外で需要がある備長炭に適したカシ類が植生しており、製炭や販売の仕組みづくりを進める。将来的には県内初となる備長炭の炭窯を設置する方針。市は森林施策を一体的に担う推進本部を庁内に設ける。
久元喜造市長は会見で「気候変動対策を見据えた森林の保全・再生はグローバル社会で関心が高い。新しい国際都市への進化に向けた攻めの予算だ」と話した。
子育て世帯への生活支援にも注力する。24年度から市内の高校への通学定期代を無償化したが、25年度は市外の高校への通学で定期代の半額を補助する。従来は月1万2千円を超える金額の半額補助だったが、基準額を撤廃。対象年齢の上限を20歳までに緩和する。
三宮再整備では、県内初の五つ星ホテルが入る市役所新2号館が着工。資材が高騰し庁舎部分の事業費が当初から63億円増の173億円となった。また、28年度を見込んだ完成予定時期を29年度に見直す。
予算規模が2兆円に達するのは20年ぶり。市税収入の総額は3314億円を見込み、前年度比181億円増で過去最高となる。定額減税の終了で個人市民税が大幅に伸び、企業業績が好調で法人市民税も増加を見通す。一方、三宮再整備など大型事業が継続中で投資的経費は1096億円に上り、23年ぶりの1千億円台となる。
