未利用魚・低利用魚を使った但馬漁協の商品=香美町香住区若松、遊魚館

高級魚として知られるノドグロも小さいサイズは漁協が買い取り、冷凍保存している=香美町香住区若松

「はたはた煮付」(但馬漁協提供)

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更新日: 投稿者: 神戸新聞社

炊き込みご飯や煮付けおいしく 但馬漁協が商品展開 サイズ小さなノドグロやハタハタ廃棄せず

■漁獲量減少など「漁業取り巻く状況知ってほしい」

 近年漁獲量が減っている兵庫県北部の日本海で、サイズが小さいなどの理由で廃棄されてきた「未利用魚」や安い値しか付かない「低利用魚」を使った商品開発に、但馬漁協(香美町香住区若松)が力を入れている。魚醤(ぎょしょう)のほか、煮付けや炊き込みご飯などのシリーズは今や但馬を代表する土産物。持続可能な開発目標(SDGs)の理念にも合う取り組みとして注目されている。

 県北部の日本海側は、沖合底引き網漁のズワイガニやホタルイカ、ハタハタなどが全国トップクラスの水揚げ量を誇る。一方で近年は後継者不足や船の老朽化による漁船の減少、環境変動による漁獲量の減少などが深刻化。22年度に但馬地域で操業した沖合底引き網漁船は39隻と、10年前から13隻減り、水揚げ量も5842トンと、10年前の約6割まで落ち込んだ。

 沖合底引き網漁では、網に入った魚を船上で種類やサイズごとに選別するが、規格外に小さい「未利用魚」は、競りにかけても値が付かず、海に捨てられてきた。漁業者も網の目を大きくするなど、資源保護に取り組むが、船上廃棄は漁獲全体の約3割を占めるとも言われる。

 関西で唯一香住漁港で水揚げされるベニズワイガニ(香住ガニ)も、脚が折れたり、甲羅がつぶれたりしたものは商品価値がないとされてきた。但馬漁協の村瀬晴好組合長は、利用されないカニで魚醤をつくれないか、養父市の大徳醤油に相談。通常、魚醤は魚介類を塩漬けにして発酵させるが、硬い甲羅に覆われたカニの場合はうまくいかなかったという。試行錯誤の末、同社は麴(こうじ)を使ってカニを丸ごと発酵させることに成功。2016年に「麴の魚醤」として商品化した。

 未利用魚・低利用魚は内臓やうろこ、骨の処理に手間がかかる割に可食部が少なく、これまで見向きもされてこなかった。そうした魚を漁協が買い取れば、漁業者の収入が増えるだけでなく、既存サイズの価格上昇にもつながる。但馬漁協は16年、未利用魚・低利用魚を使った商品開発に取り組む「企画開発課」を設置。外部人材を採用し、販路開拓や情報発信にも力を入れる。

 「麴の魚醤」はノドグロ、ハタハタ、ホタルイカ、タコ、甘エビなどでシリーズ化。瀬戸内産の海苔(のり)を麴の魚醤で味付けした「むかし海苔」や「のり佃煮(つくだに)」のほか、干物の調味液に麴の魚醤を加えてうま味を引き出した「旨干し」シリーズも展開。ノドグロ、ハタハタ、ホタルイカなどの未利用魚・低利用魚を加工した炊き込みご飯や炊き込みご飯の素、煮付けの缶詰は、備蓄食として長期保存にも対応する。

 20年春に水揚げしたホタルイカは、コロナ禍による需要低迷で、浜値が10分の1ほどに暴落。但馬漁協が買い支え、新商品開発に力を入れたという。23年春は、ホタルイカ漁で小さいヤマガレイが大量に入った。漁協が買い取って冷凍保存し、商品化を検討中だ。

 但馬漁協業務理事の丸山和彦さん(61)は「未利用魚・低利用魚を使った商品を通じて、但馬の漁業を取り巻く状況や、但馬で水揚げされる魚のおいしさを知ってほしい」と話す。

 商品は、但馬漁協のオンラインショップや「遊魚館」(香美町香住区若松)などの直場所、但馬各地の道の駅や土産物店などで購入できる。但馬漁協企画流通課TEL0796・36・2702

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