持続可能な開発目標の達成に向けた事例発表が続いたシンポジウム=神戸市中央区下山手通4、兵庫県農業共済会館

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更新日: 投稿者: 神戸新聞社

牛ふんや酒かすで堆肥作り→育てた牧草を牛に与える 農林水産SDGs、神戸のシンポで先進事例を紹介

 農林水産業を通じた兵庫県内での持続可能な地域づくりを考える「ひょうご農林水産SDGs(持続可能な開発目標)シンポジウム」が神戸市内であった。専門家やSDGsの達成に意欲的な県内の1次産業事業者らが登壇。兵庫県が2年前から開き3回目で、農業や食品、流通関係者ら約100人が参加した。

 身近な資源を生かした地域活性化を研究する日本大生物資源科学部の小谷幸司教授が基調講演。SDGsの推進やブランドづくりに関し「今の若者はSNS(交流サイト)での情報拡散力、市場への影響力が高く、マーケットの起点になっている」と世代間連携やSNSの重要性を指摘した。

 続いて、県内で山や海の保全や温暖化対策でSDGs達成に取り組む3事業者が事例を発表。但馬牛76頭を育てる丹波農商(丹波市)は、牛ふんや酒かすなどで作った堆肥で牧草を育てて牛に与える。こうした社内での資源循環を解説した栗原優介取締役は「循環させるほど、土も牛も品質が上がる」と意義を強調した。

 木材加工会社コウエイ(たつの市)は、原木を切り出す際に山中に残されてきた「林地残材」をフル活用するためのマニュアルづくりを説明。明石浦漁業協同組合(明石市)は、魚介減少の一因とされる海の栄養増加に向け、船で鉄製器具を引きずる「海底耕運」などの取り組みを紹介した。

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