改修した建物で空き家再生の取り組みについて語る西村周治さん=いずれも神戸市兵庫区梅元町

改修した建物で空き家再生の取り組みについて語る西村周治さん=いずれも神戸市兵庫区梅元町

「梅村」に続く路地。車は通れない

改修した建物で空き家再生の取り組みについて語る西村周治さん=いずれも神戸市兵庫区梅元町
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更新日: 投稿者: hyogo-sdgs

神戸・兵庫の山際 趣ある邸宅点在空き家群再生「村」づくり

 神戸の街並みが一望できる神戸市兵庫区梅元町の一角で、建築家らが朽ち果てた空き家群を再生し、一つの「村」をつくるプロジェクトを進めている。当初はこの地区の1棟を改装する予定だったが、周辺の空き家所有者から次々と声がかかり、計9棟を買い取った。資材の大半を廃材でまかない、住民らが利用できるギャラリーやコワーキングスペース、シェアハウス、飲食店などに改造中だ。

 山際にある同町。車が通れない幅約2メートルの坂道を抜けると、60メートルほど続く路地の両脇に、古民家が並ぶエリアが現れた。そのうちの1棟では、若い男女がボロボロになった茶室の床を直していた。子ども向けのイベントなどができるスペースに変身させるという。

 このエリアでは約2年前から、1級建築士の西村周治さん(40)=神戸市兵庫区=が率いる集団「西村組」が再生に取り組んでいる。メンバーは、大工や若手芸術家ら約20人。一帯を「梅村(バイソン)」と名付け、共有のキッチンや工房、畑なども設けた。元々あった家屋のブロック塀を取り払ったことで、開放的な空間になったという。

 西村さんは、神戸芸術工科大を卒業後、定職には就かず、アルバイトで生計を立てた。大学の先輩のつてで、同区の稲荷市場にあった長屋の1室を1万5千円で借り、拾ってきた廃材で風呂をつくるなどして暮らしていた。当時の楽しかった日々が、今の活動の原点にある。

 その後、不動産の仲介業をする傍ら、廃屋を改装する仕事を始めた。買い取った廃屋に住みながら修理しては、賃貸に出す。それを何度も繰り返す「ヤドカリのような生活」(西村さん)を送ってきた。

 梅元町に興味を持ったのは、美しい眺望に加え、かつて富裕層が暮らしていた趣のある家屋が複数残っていたからだ。活動に共鳴する仲間のほか、新型コロナウイルスの影響で職を失ったアパレル関係者や編集者らも加わり、活動母体となる「西村組」が誕生した。

 資源を有効活用するため、「資材の8割以上は廃材を使うこと」を目標にする。解体されたマンションモデルルームや一戸建ての窓ガラスや断熱材、舞台美術に使われた木材などを譲り受けて使っている。西村さんは「無価値とされた廃材も宝になる、という思いを込めている」と話す。

 総務省によると、2018年の住宅・土地統計調査では、全国の空き家は過去最高の848万9千戸に上る。住宅総数に占める割合も過去最高の13・6%で、兵庫も同水準だ。

 「こんなに空き家があるのに、なぜ新築を建てるのか」と西村さん。「日本に根強い新築至上主義のようなものは、サステナビリティー(持続可能性)やSDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれている今の時代に合っていない。僕は違う方法を取りたい」

 「梅村」は現在、6割程度の改修を終え、あと1年半ほどで完成する予定だ。

 西村さんは「建物ができて終わりではなく、ここで暮らす人や過ごす人たちが使っていくうちに、『村』全体が完成されていく。いろんな人たちが集まる、面白い空間になってほしい」と期待する。空き家相談は、西村組のホームページから。

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