音楽療法に取り組む音楽家のジェシィさん(神戸市中央区加納町4、アンカー神戸)

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更新日: 投稿者: 神戸新聞社

西宮の音楽療法士・ジェシィさん 患者の心癒やす名曲配信

西宮市のピアニストで音楽療法士のjesse(ジェシィ)さんが、がんやうつ、不眠症などさまざまな患者の心を癒やす音楽をオンラインで配信するプログラムに取り組んでいる。「孤立しがちな人に自宅でリラックスして聴いてもらたい」と話す。

ジェシィさんは5歳でピアノを始め、10歳から作曲も学び始めた。その後、関西で結成されたフォークグループ「赤い鳥」のドラム奏者の村上〝ポンタ〟秀一さんと出会い、後押しを受けてボーカルとしてデビューした。

 あるライブ会場で、失語症を患う観客が、ジェシィさんの歌声に合わせて一緒に歌ってくれたことで、音楽の癒やし効果を実感。出産を機に、子育てしながらできる活動を模索中、兵庫県認定の音楽療法士の資格を取得し、主に高齢者施設でセラピストとして活動を始めた。

 しかし、2020年になると新型コロナウイルス禍で対面活動が制限される。すると一念発起し、仲間に呼びかけて翌年、芸術企画会社「528」(神戸市中央区)を創設。オンライン配信「らら♪ライン」を通じて、音楽療法によるプログラムを提供し始め、好評を博している。

 プログラムでは名曲の速度やメロディーを変えて、症状に合った作品にアレンジする。例えばヨハン・シュトラウス1世の「ラデツキー行進曲」。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「ニューイヤーコンサート」の定番で、テンポの良さが特徴だが、ジェシィさんは、がん患者向けに音を抑えた上でスローテンポに編曲した。「前へ進むメロディーを保ちつつ、尊厳を守ることで生きる力を引きだそうと思った」

認知症の高齢者には「青い山脈」「リンゴの唄」など口ずさみやすい曲を選択し、一緒に歌う喜びを感じてもらうようにしている。

 ジェシィさんは「一人一人の状態に合った癒やしの音楽を提供していきたい」と話している。

 プログラムの料金は30分2200円など。問い合わせは「528」まで電話(070・5433・3432)か、メール(artsciencejoy@528.earth)で。

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