「地エネの酒」海外で高評価兵庫県発 独特の味わいで魅了
兵庫県発の資源循環型の日本酒「地エネの酒 環(めぐる)」が海外で注目されている。ヨーロッパの食文化の中心フランス・パリのグルメ専門家らの会合でも振る舞われた。持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みだけでなく、個性的な味わいも世界の「酒通」から評価されている。
「環」は、バイオガス生成時にできる有機肥料で育てた酒米山田錦を使い、県内の複数の蔵元が醸造する。人と自然を資源循環でつなぐ日本酒として飲食店やホテルで提供されている。
昨年9月には、パリの老舗レストランであった「グルメとワインの評論家同業者協会」のパーティーで紹介された。同協会は1954年、ミシュランのガイドブック普及に携わった料理研究家モーリス・エドモン・サイヤン氏(1872~1956)が創設。会場に集まったグルメ評論家や人気ブロガーら約200人に振る舞われた。
会長のジャン・クロード・マリアニ氏は日本酒を念頭に「フランスの伝統的なグルメ界も新しい食文化に門戸を開くべき」と強調。会場のレストランオーナーは「日本酒には異文化の人にも訴える独自の世界がある。フランスでも市民権を得るだろう」と評した。
会場では「同じブランドでも微妙に味わいが違う」「同じ料理で白ワインと飲み比べたら面白い」と反応は上々。和食の国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産登録後、海外で日本酒は注目されており、フランスのジャーナリストは「サステナブル(持続可能)な酒として誕生した環は、飲食業界にも受け入れられやすい」とした。
同11月、米ポートランドで神戸市が開いた催事でも約200人に提供された。
今春にはフランスなどへの試行的な輸出も計画される。蔵元の一つ山陽盃酒造(宍粟市)の壺阪雄一専務は「海外コンクールでの受賞歴などもPRし、環ができるまでのストーリーとともに海外の日本酒ファンに届けたい」と話した。