沼島100年計画のメンバー=南あわじ市沼島(提供)

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更新日: 投稿者: 神戸新聞社

あふれる沼島愛 100年計画実現委が結成4年 

文化祭や海岸清掃…男女8人多彩な活動

 南あわじ市の離島・沼島で、地元住民が「沼島100年計画~SDGs実現委員会」と名付けた団体を立ち上げ、まちの活性化に取り組んでいる。発足から4年を迎え、現在のメンバーは、移住者ら多様なバックボーンを持つ男女8人。住民文化祭、オリジナルガチャガチャ、海岸清掃…。人口約350人、高齢化率約50%の島の盛り上げに全力を注ぐ。

 団体は2021年5月、新型コロナウイルス禍で子ども会の活動がほとんどできなくなったことをきっかけに誕生。ここ十数年の間に婦人会や老人会はなくなり、人が集まる行事は減っていた。「沼島のために何かしたい」。そんな思いを抱く人たちが集まった。

 現メンバーの8人は30~60代。沼島で生まれ育った人、Uターンしてきた人、都会からの移住者、結婚を機に移ってきた人など立場はさまざま。月1回、多いときは週1~2回集まり、話し合いを重ねてイベントを企画する。

 メンバーの1人で、沼島で唯一のカフェを営む移住者の川勝惠さん(66)は「いろんな人がいて、島の縮図みたい。ぶつかることもあるが、沼島が好きという共通の思いがあり、自分に今何ができるのかをそれぞれが考えている」と話す。

 海岸の清掃や花火大会の運営など活動は幅広い。

 戦争や伝染病で亡くなった人を慰霊するため地蔵を巡る「沼島八十八カ所霊場巡り」も復活させた。生い茂った雑草やつるを刈り取って道を整備し、マップを作ってツアーを実施した。

 30年ほど前まで開かれていた住民文化祭は3年前に再開。今年2月にも開き、住民が落語やダンス、「沼島八幡神社の階段は何段?」といった地元色あふれるクイズなどを披露した。

 締めの演劇には「沼島喜劇~春よ、来い」と題し、住民34人が出演。島で増え続けるイノシシ、ある住民の暮らし、かつて放送されたお見合い番組「沼島の春」などを題材に、住民が方言全開で約45分にわたって演じ、昔を懐かしむ高齢者に大好評だった。

 今最もホットな取り組みは、沼島の案内看板やキャラクター「ぬしマリン」などのオリジナルグッズを商品にしたガチャガチャを作ったこと。沼島汽船の沼島港ターミナルロビーに4種類が置いてあり、1回300円で楽しめる。

 観光客ら向けに島の生活を伝える動画も完成。タイトルは「沼島ウェルカムムービー」で、島民らが出演し、祭りや子どもたち、漁師の様子などをユーチューブで発信する。

 ここまで頑張る「沼島愛」の源は何だろうか。

 メンバーの吉岡貴美子さん(39)は沼島で生まれ育ち、いったん島を出たが、子育て中にUターンした。小学生の頃から、ともにメンバーとして動く同級生の神邊心美さんと「沼島の未来を考えたら、私たちが踏ん張らなあかん」と話していたという。

 「これまでの活動を通して、1人ではできないことができた」と吉岡さん。「どんどん協力してくれる人が増え、静かなうねりができてきている」。手応えを感じながら先を見詰める。

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