県内の女性参画の現状など意見が交わされた座談会=神戸新聞社本社

兵庫県と神戸市の「企業×学生ミモザセッション」。働きやすい職場について意見交換=2025年3月

神戸市の「私らしさプロジェクト」の一環で開催された「U―35がつながり語る夜―キャリアとライフスタイルのもやもや、話そう神戸で―」の様子=2025年9月、アンカー神戸

報告
更新日: 投稿者: 神戸新聞社

きょう3月8日は「国際女性デー」 兵庫の女性参画を考える座談会

 きょう3月8日は世界中で女性たちの功績を祝福し、女性の地位向上や女性差別の払拭を目指す「国際女性デー」。同時に、男女関係なく誰もが自分らしく生きられる社会を目指す日でもある。この日を前に「ひょうご・こうべ女性活躍推進企業(ミモザ企業)」の認定や推進に関わる兵庫県、神戸市の担当者と有識者が県内の女性参画の現状や今後の取り組みなどについて話し合った。

 〈座談会出席者〉
▽井野瀬久美惠氏 甲南大学名誉教授 兵庫県男女共同参画審議会会長
▽瀧井智美氏 株式会社ICB代表取締役 兵庫県男女共同参画審議会委員
▽喜多和美氏 兵庫県県民生活部次長
▽村田秀夫氏 神戸市男女共同参画センター所長

―女性参画の現状は。
 井野瀬 歴史学的にみると、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業は、比較的新しい時代、近代以降の現象である。日本では明治以降、高度経済成長期に至るも、支配的な考え方であった。しかし労働力不足が顕著な昨今の超少子高齢化時代において、この価値観はもはや時代遅れで、ジェンダー・ギャップ(男女格差)を解決しなければ日本に未来はない、というところまで追いつめられている。日本のジェンダー・ギャップ指数は148カ国中118位(2025年)、G7(主要7カ国首脳会議)で最下位という厳しい状況。特に政治、経済の分野で女性参画が遅れている。

 瀧井 女性参画は企業の経営戦略として取り組む必要がある。組織の目指す姿に向けてトップがいかにリーダーシップを発揮していくかが大事。労働力不足が深刻化する中、意欲と能力を併せ持つ女性たちの力を借りない手はない。定着から活躍へ、働きやすさから働きがいへ。また女性活躍は多様性推進の最初の一歩にすぎず、最終的には女性、男性など言わなくてもいい、誰もが自分らしく活躍できる社会を目指したい。

 ―兵庫県と神戸市の取り組みは。
 喜多 兵庫県は「ひょうご男女いきいきプラン」に基づき、さまざまな男女共同参画施策を進めている。1992年に開設した「男女共同参画センター」では再就職を目指す女性を対象に、センター内に設置されているハローワーク相談窓口と連携した職業相談や各種セミナー等で支援。さらに2015年から専門員による企業訪問や講師派遣をこれまでに1044件実施し、女性だけでなく誰もが働きやすい環境づくりを支援している。また人材育成などを目的とするリーダー養成プログラム「男女共同参画アドバイザー養成塾」は29年間続く事業。25年度は大学生を含む20代の参加が目立って活気ある事業となっており、スキルアップや人脈づくりにも役立っているかなと感じている。

 村田 神戸市は女性の就業率が20政令市のうち18位と非常に低いのが長年の課題で、女性の就労支援施策を中心に行っている。代表的なものは、無料の女性向け託児付きコワーキングスペース「あすてっぷコワーキング」。市内3カ所で運営し、24年度の利用者は計8千人に上った。また女性のデジタル人材育成や就労支援、フリーランスセミナーなどにも力を入れており、日本経済新聞社などが発表している「共働き子育てしやすい街ランキング」で24年1位、25年関西1位の評価をもらっている。

 喜多 さらに兵庫県と神戸市の共同事業として、企業の女性活躍を促進する「ミモザ企業」の認定を22年度から進めている。女性の登用や定着促進など、女性活躍の現状を見える化する20の認定項目のうち14項目を達成した企業を県・市が積極的にPRしており、これまでに244社を認定。8項目達成で認定する「フレッシュミモザ企業」180社には、ステップアップに向けた助言も行っている。

―これらの取り組みについて評価や感想を。
 井野瀬 旧五国が一つになった兵庫県だからこそ、多様性という兵庫らしさを前面に出した女性参画を進めてほしい。神戸や阪神間を単純に基準にするのではなく、それ以外の地域の人たちが自分事として捉えられる目線が重要。「私もやりたい」「私にもできるかも」と思うロールモデルを発信して、参画の意志を持つ女性を増やすこと。と同時に、社会が求める男らしさに生きづらさを感じる男性の存在も忘れてはいけない。彼らを含めた文字通りの男女共同参画こそ、兵庫県の取り組みの特徴でもある。

 瀧井 県内各地に出向くと、地方に元気な会社がたくさんあり、会社の枠を超えてまち全体をよくしていこうと考える地域も増えているなと実感する。若者や女性に選ばれる地域になることが地方創生の鍵。柔軟で多様な働き方がある工夫や発想転換をしている会社に、若者はちゃんと注目している。都会や大企業という観点ではなく、その会社に入って自分がいかに成長できるかという物差しで会社を選ぶ学生が増えている。

 ―女性参画の今後の方向性について。
 喜多 県の審議会等における女性委員割合が全国41位と低く、指導的地位や意思決定プロセスへの女性参画が進んでいない。根強く残る、性別に関するアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)の解消にも新たに取り組んでいきたい。

 村田 神戸市ではすべての人が自分らしく生きられる持続的なまちづくりを目指す「私らしさプロジェクト」を進めており、3月7日には国際女性デーイベント「BE YOU in KOBE」を市内で開催した。今後もこうしたイベントや公開の議論を通して、性別の思い込みにとらわれない考え方を広げていきたい。

 瀧井 女性も「大変だけど面白い」「仕事の権限が広がる」と分かれば、管理職も視野にいれ、いろんなチャレンジをしていく。なるべく早い段階からやりがいや成長を感じる機会提供をして、チャレンジしていこうとする心をどう育てるかが大事。本気の会社は管理職から働き方改革をしている。勤務時間の長さから仕事の質を評価することへの転換、多様な管理職像が選択肢を広げる。男性の育休取得率が昨年4割を超え、当たり前になりつつある。ジェンダーバイアスを払拭し、自分らしく組織や社会の中でリーダーシップを発揮できる機会を増やしていけると良い。

 井野瀬 意思決定プロセスへの女性参画については、経験値を積み重ねていくしかない。やったことがないことも、やればできるようになるかもしれない。大事なことは、失敗を許容し、再チャレンジを後押しする風土だ。女性参画は目的ではなく手段。男女の別なく自分らしく生きることを追求する段階に入っている。

虹色の装飾