みなと銀行と但馬銀行、ライバル地銀が初タッグ Z世代に地元で就職を SDGsに取り組む企業を紹介
みなと銀行(神戸市中央区)と但馬銀行(兵庫県豊岡市)は、持続可能な開発目標(SDGs)に取り組む県内企業35社を紹介する冊子を作った。中高生向けに編集し、将来の就職先選びの参考にしてもらう。兵庫県は若者の人口流出が課題で、県内地盤の地方銀行としてライバル関係にある両行が、初めて手を組んだ。
「ひょうごSDGsガイドブック」はA4判74ページ。兵庫五国の地域性にも配慮し、みなと銀が取引先22社、但馬銀が13社に声をかけて各社の協力で作り上げた。1社当たり2ページを使い、写真を多用。社員の声に加え、多様性や地域貢献などSDGsへの取り組みを分かりやすく紹介している。
県内の全中学校、高校に1冊ずつ配布した。県や経済団体、企業などでつくる推進機関「ひょうごSDGs Hub(ハブ)」のウェブサイトからも無料でダウンロードできる。
冊子を作った背景には、若者がSDGsをより強く意識し始めたことがある。来年3月卒業見込みの大学生らを対象にしたアンケートでは、7割が「SDGsに取り組む企業には志望度が上がる」と回答。一方の企業側は、SDGsに関する自社の取り組みを学生に十分伝えられていなかった。
兵庫特有の課題もある。人口移動による「転出超過(外国人を除く)」を都道府県別に見ると、兵庫は20、21年と連続で全国最多だった。中でも20代前半の転出超過は約6千人と、就職を機に兵庫を離れる人の多さを裏付ける。
人口減少を食い止めるには、中高生にこそ地元の魅力的な企業を知ってもらう必要がある-。そんな思いで、県内の二大地銀が立ち上がった。みなと銀の服部博明会長(66)と但馬銀の坪田奈津樹頭取(66)が白陵高校(高砂市)の同級生という縁もあり、初の共同事業は順調に進んだ。
服部会長は「(1990年代後半~2010年代前半に生まれた)Z世代にとってSDGsは当たり前のこと。一度は地元を離れても戻ってきたいと思える、魅力的な企業を知るきっかけになれば」とする。
坪田頭取は「但馬では高校を卒業したら地元を離れる若者が多く、より深刻だ。この冊子を若者の流出を食い止める有効なツールにしたい」と話した。