魚の産卵や餌場、海水も浄化する藻場…大阪湾で再生へ 兵庫県、府と連携会議 90年から14%減、生態系に影響
兵庫県は、魚介などの産卵や餌の場となり、「海のゆりかご」と呼ばれる藻場の再生に向け、大阪府と連携会議を立ち上げた。水質の浄化機能も持つ藻場は、県内大阪湾で1990年に比べ35・8ヘクタール(14%)減少。生態系などへの影響が指摘されてきた。藻場の再生を通じ、海の環境改善とともに、二酸化炭素(CO2)の吸収源としての活用も視野に両府県で取り組みを強化する。
今月24日に設立した「大阪湾ブルーカーボン生態系アライアンス〈MOBA〉」。水環境の保全などを担当する県水大気課と府環境保全課が事務局を担う。
藻場は、ワカメやアマモなどの群生地。高度成長期の埋め立てや生活・工場排水の流入により、沿岸域で大幅に減った。海の生物の産卵や生育、餌場となるほか海水を浄化。プランクトンや小魚の減少などの一因とも指摘されてきた。
海の植物が吸収するCO2は、森林の「グリーンカーボン」に対し、「ブルーカーボン」と呼ばれる。吸収量は企業間でのCO2排出量取引の対象となっている。
県によると、県内大阪湾の藻場は1990年には247・9ヘクタールあったが、2014~15年には212・1ヘクタールにまで減少。播磨灘や紀伊水道などを合わせた県内瀬戸内海ではほぼ同時期に3割以上減ったという。
県はこれまで、沿岸域でのアマモの植え付けなどに取り組む民間団体に補助金を給付。昨年7月に発足した官民の「ひょうご豊かな海づくり県民会議」でも、藻場の保全・再生を活動項目に加えてきた。
県は、大阪府との連携会議設立と同時に、同県民会議内にMOBA部会を設置。藻場に関する情報発信や普及啓発▽新たな藻場の創出に向けた調査▽藻場が生物多様性に及ぼす効果の把握-などを進める。海藻が付着しやすく凹凸を付けたコンクリートブロックの海底への設置も検討する。
兵庫県の斎藤元彦知事は「大阪湾沿岸で藻場をつなぎ、湾奥部では干潟も創出したい。2025年大阪・関西万博に向けたSDGs(持続可能な開発目標)にも資する」としている。
両府県の連携会議は、参画する企業や団体、行政機関などを募集している。県水大気課TEL078・362・3468