SDGsの一環で導入した太陽光発電の発電量を情報端末で示す=豊岡市梶原

SDGs宣言をしたかばんメーカーのウノフク=豊岡市梶原

ミニかばん作りに挑戦する斎藤知事=豊岡市中央町

報告
更新日: 投稿者: 神戸新聞社

「かばんのまち」がSDGsに本腰

太陽光発電導入や人材多様化 豊岡の組合が推進委

 兵庫県豊岡市の地場産業であるかばんの業界が、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みを強化している。産地のメーカーなどでつくる県鞄(かばん)工業組合(同市大磯町)が加盟社向けの啓発セミナーを開き、廃材を使った製品を消費者にPRするなどして、「かばんのまち・豊岡」の知名度アップにもつなげる考えだ。 


 同組合には、かばんや生地の製造、販売などを手がける76社が加盟する。輸入品との競合や新型コロナウイルス禍による需要減に直面する中、持続可能な産地づくりを進めようと、2022年に「SDGs推進委員会」を立ち上げた。

 同推進委は昨年夏から3回にわたって、産地でのSDGsに関する加盟社向けのワークショップを開催。漁網を廃棄せずに再利用してかばんを作る加盟社の事例を共有したほか、業務上でもSDGsに即した取り組みとして、環境への負荷を抑えた事業活動や、女性の積極的な登用などについて学んだ。

 この結果、SDGsを実践する加盟社は拡大。同推進委が発足した当初は2社だったが、今年3月末時点では同組合を含め19社・団体に増えた。多くの企業が人材登用で男女の格差をなくしたり、出産・育児で女性の働く機会が失われないための環境整備や、森林の保全などを進めたりしている。

 その一つ、かばんメーカーのウノフク(同市梶原)は、SDGsの17項目のうち8項目に貢献する。社内人材の多様性を推進し、太陽光発電の導入や、素材を含む事業ごみの分別などに取り組む。

 同組合は、今年2月に東京都であったファッション雑貨の展示会に参加した。廃漁網を使ったかばんのほか、コーヒー豆の麻袋や、バングラデシュのサリー衣装の生地を活用した製品を出展。役目を終えたランドセルをファッションバッグに仕立て直した品などを紹介した。産地で推進するSDGsの取り組みを一般消費者に伝えて、「かばんのまち・豊岡」の認知度を高める狙いだ。

 また、SDGsを重視する25年の大阪・関西万博をにらんで、現場活動をパビリオンに見立てる「フィールドパビリオン」の豊岡誘致を推進した。2月末に開催が内定し、地域ブランド「豊岡鞄」をPRする商業施設「トヨオカ カバン アルチザン アベニュー」(同市中央町)が会場に決まった。食肉処理後の副産物である牛の革を使ったかばん作りの体験を予定している。

 同推進委の卯野祐也委員長(ウノフク代表取締役)は「76社のうち半数近くがSDGsの実践企業になることを目指す。フィールドパビリオンを成功させて、産地の知名度を高めたい」と述べた。

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