<脱炭素の暮らし方>ホテルのSDGsな取り組みとは? 食品ロス減、宴会で呼びかけ
利用客がコロナ禍前に戻りつつあるホテル業界で、脱炭素や持続可能な開発目標(SDGs)を意識した宴会や宿泊プランが相次いで打ち出されている。訪日客が増える2年後の大阪・関西万博を見据え、対策を加速させる動きも。大阪を拠点とするリーガロイヤルホテルグループに取り組みを聞いた。
大阪市北区のリーガロイヤルホテルは、「SDGsに参加できる宴会場」を掲げる。昨春から宴会プランで、売り上げの一部を「緑の募金」に寄付。食品ロス削減のため、乾杯後の30分間と閉会の10分前は自席で料理を楽しむ「3010運動」への協力を呼びかけている。
「基本は料理をしっかり食べてもらい、どうしても廃棄せざるを得ない部分は、環境保全活動への募金で補う、という考え方です」と同ホテル。調理過程や料理を提供するタイミング、ビュッフェの提供方法などでも工夫する。
ホテル業界では昨年、宿泊客らに提供するプラスチック製品の見直しが進んだ。事業者にプラ製品の提供削減を義務付ける「プラスチック資源循環促進法」が施行されたためだ。同グループも、カミソリなどをバイオマス(生物資源)素材に変更。歯ブラシやヘアブラシは回収して同じ製品に作り直す。
連泊時に備品の補充や清掃をしないプランも数年前から導入する。ただ、大阪では需要に大きな変化はなく、「業界内で足並みをそろえて進めたい」(同ホテル)という。
一方、大阪・関西万博に向け、訪日客のツアーや修学旅行を扱う旅行代理店から「SDGs対策が不十分なホテルは選ばれない」との声も出ており、各ホテルは対策を急ぐ。同グループの担当者は「真剣に取り組んでいるかが問われる。具体的な指標や実績を示していきたい」と話す。