加古川 県教委SDGsアワード優秀賞 志方西小の取り組み
6年間のため池学習 冊子に 児童に配布 地域愛育んだ活動掲載
加古川市立志方西小学校(志方町原)で2019~24年度に実施した「『ため池』ふるさと学習教育プラグラム」の冊子が完成し、在校生89人のほか、6年間取り組んだ今春の卒業生(志方中1年生)17人に手渡された。ため池の役割などを学ぶ中で「ふるさと意識」を醸成した活動は、県教育委員会「ひょうごSDGsスクールアワード2024」の優秀賞に選ばれた。
学校近くの大池は志方町最大のため池で、周辺5地区が共同で管理する。農業用水を支えるだけでなく、防災、歴史、文化など恩恵は多岐にわたり、同プログラムはそれらを「教材」として体験的に学ぶ。冊子は、初年度から取り組んだ卒業生を中心に学年ごとの活動をまとめた。
1、2年は地域の農園でのサツマイモの苗植え・収穫、3年ではイチジクの栽培を体験。住民らと交流を重ねた後、4年で「ため池学習」に臨んだ。
原大池五ケ村ため池協議会が協力。5月、ため池の水を集落に流し豊作を祈る神事「樋抜きの儀」の参加から始まった。6月には、学校の近くを流れる用水路をたどり、水が必要な田んぼには板に「○」と記されていることなどを発見。登下校で何気なく見ていた光景の意味を確認した。
7月は大池でカヤックなどに乗り、水難時の対処法を学習。その際、おぼれかけている人を助ける道具が身近な物で作れることを知った。翌年2月、ペットボトルとロープをつないだ「レスキューペットボトル」を製作し、ため池に設置した。5年では稲の種をまいて苗を育て、田植え、稲刈りや脱穀、しめ縄作りと年間を通じて活動した。
6年になると、これまで支えてくれた人たちへの感謝から「地域の力になりたい」との声が上がった。大池の水が少なくなる冬にごみ拾いをしようと発案。昨年12月、約2時間をかけて取り組んだ。参加した松上すみれさん(12)は「地域のことを教えてくれ、いろんな体験をさせてもらった。恩返しができたらと思った」と振り返る。
同校は本年度以降も「子どもたち(学校)から地域への発信」をテーマに同様のふるさと学習を続ける予定という。
