SDGs、新聞でもっと身近に 県内中高、NIE推進協議会が出前授業 企業取材、記事活用の方法学ぶ
貧困や気候変動など、地球規模の課題を解決するため国連が採択した17の持続可能な開発目標(SDGs)。兵庫県内の中高生がSDGsについて学ぶ機会が増え、兵庫県NIE推進協議会(事務局・神戸新聞社内)が各校で出前授業を続けている。授業では、SDGsの実現に取り組む企業などを取材して新聞にまとめるときのポイントや、新聞記事の活用法などを伝えている。
6月、滝川中学校(神戸市須磨区宝田町2)の1年生132人が、淡路市にある体験型農場「タネノチカラ」のSDGs探究プログラムに参加するのを前に、取材の要点を学んだ。同農場で火おこしや草刈りを体験した後、新聞作りのノウハウも学習。各班で「環境を支える土新聞」「みんなで地球を守る新聞」などの名前を付けて新聞を作り上げた。
甲南女子中学校(神戸市東灘区森北町5)では、2年生197人が神戸市の「SDGsの探究教育プログラム」の一環として、市内五つの企業を訪問して個人新聞を作った。取材を前にした6月の授業では「何を一番取材したいか」「その企業の理念はどの開発目標と関連しているか」などを考えた。「神戸どうぶつ王国」(同市中央区港島南町7)を訪れた80人は、絶滅危惧種を守る取り組みなどを取材した。
両校とも同協議会事務局長が講師を務め、「SDGsを身近な、自分ごととしてとらえたい」「世界的な課題について、知る力や伝える力をはぐくむことが大切」と強調した。
8月には神戸市立六甲アイランド高校(同市東灘区向洋町中4)でも授業を行い、1年生25人が参加した。授業後、生徒たちは新聞記事を使ってSDGsに関する調べ学習に取り組んだ。
SDGsの期限は2030年。その達成が危ぶまれているが、甲南女子中の辻本智史教諭は「生徒たちが遠く離れた場所とつながっていることを実感し、SDGs学習による気づきを自身の未来を彩る糧にしてほしい」と話している。同校の生徒たちは2学期、奈良や和歌山への研修旅行でもSDGsについて学んでいる。